匠の技

2018/03/21

「触れる」ということを極めて行くと、触れるだけで癒されるというところまで行きつきます。私の施術はそのレベルを目指しています。ゴッドハンドを持った施術の匠ということです。自分自身は大雑把な人間ですので、職人というわけではありませんが、物事を極めたいという衝動はすごいものがあります。そう言う類の職人気質と忍耐力は父から受け継ぎました。

今日は父の命日なのですが、父は職人気質の技術者でした。サラリーマンではありましたが、技術的な面では誰にも負けないという誇りを持っていました。ただ、その気質が高じて、全てを自分でやってしまうという癖があり、家族は振り回されました。特に私は、小学校の頃から家の改築等の手伝いをさせられ、助手代わりに使われていました。家の土台作りから、配管や電気配線、その他全てを父から怒鳴られながら毎週土日夜遅くまで一緒に仕事をしたのです。皆が遊んでいる時も、私1人は好きなこともできず、何年間もものづくりの助手として働かせられ、怨めしく思っていました。いつも怒鳴り散らしていた父は、家族や親戚から恐れられ、近寄る人はいませんでした。本当の意味で父を理解する人は、私1人だったと思います。父と深く交わる中で、父の苦悩を知り、父の怨みを解放するために何十年もかけてとりくんできました。介護が必要になってからは、父の側に寝ながら、下の世話をしました。亡くなる一週間前に、一緒にお風呂に入り、綺麗に垢を洗い流してあげました。父は「いい男になったのう」と大変喜んでくれました。

全ての人は、様々な背景を持っています。人と触れる時、その人の背景を同時に感じます。それを全て受け止め、受け入れていくのがセラピストの勤めです。一期一会といいますが、たった一度しか出会わない人だったとしても、その瞬間を大事にしたいと思っています。皆様とご縁がありますように。

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